2007.6月 File.03

●今週の鳥肌店

神田「トプカ」

●今週のおすすめ

神田「藤むら」「伊勢」

●今週の裏メニュー

「神田と僕とあの娘の思い出」

 

 



photo by Mikako Honma  

トロトロ玉子とほどよい甘み
“汁だく”でいただく「元祖地鶏親子丼」

JR 神田駅北口から右手に曲がると、高架下に鶏料理専門の「伊勢」が現れる。昼時は「親子丼」 1 品で勝負し、すこぶる賑わっている。店内へ赴くと、
「大盛りにしますか? お吸い物つけますか?」
の掛け声。1階はカウンター6席ほどで、すぐに満杯になり2階に通されることも。厨房左手では、ひたすら玉子を割る作業を続ける店員、真ん中には主に注文取りとご飯を盛る係り、右手には親子丼を作る職人、という役割分担になっているようだ。

座って僅か2分弱で親子丼が運ばれるので、忙しい輩にはありがたい。ちょいと平たいお椀の蓋を開けると、真ん中に彩りと香りの三つ葉、そしてトロトロの玉子にほんのり味つけされた鶏。熱々を一口頬張ると、ほどよい甘み、塩加減、ご飯にひたひたのツユ、好みだが、僕はこの“汁だく”がたまらない。合間に、ピリッと辛口な漬物をつまむと、また食欲が加速するのだ。

テーブルの能書きには「どんぶりのふたを軽く開け、七味唐辛子を少々、三つ葉のまわりにさっとふりかけ、 1 度ふたを閉めて蒸し、そのまま約3〜5秒おいてもう 1 度ふたを開け」とある。この店は何回も通っているが、能書きの通り試したことがなかったので、その通りやってみると、何が変わったのかわからないが、確かに一味変貌するような気がするのだ。

夜は鶏料理を肴に酒を1杯というスタイルらしいが、この時間帯は、正直まだ訪れたことがない。いずれ挑戦しようと思っている。

トロトロ玉子が身上の「元祖地鶏親子丼」(¥680)。大盛り、お吸い物付は100円増しとなる。一度来店すると割引券がもらえるサービスもある。 注文をさばく職人たちの動きには無駄がない。店内で食べる時間がない場合は、持ち帰り(¥730、大盛り¥830)も出来るので利用してみては。

: DATA :
【 伊勢本店 】
住所:東京都千代田区鍛冶町2-13-17
JR神田駅北口隣
電話:03-3254-2370
URL: http://www.ise-honten.com/home.htm
営業時間:
月〜土 11:00〜14:30(売り切れ次第終了)
月〜金 17:30〜22:30(売り切れ次第終了・夜の部は親子丼なし)
定休日:日・祝
席数31席
★シチュエーションPOINT
「急ぎの昼飯、スピードチャージ!」

 



ほどよく脂がのった「赤魚鯛」の味わいに大満足

神田界隈の路地裏を徘徊していて、偶然発見した店だった。割烹風の小奇麗な佇まいの戸口、サラリーマン、OLがひっきりなしに出入りする「藤むら」。気になって表のメニュー書きを眺めていたら、突然扉が放たれ、
「いらっしゃい」
と感じのよい女性店員。

店内の賑わいに吸い込まれるように席に着き、相席のオヤジが頬張る「たらこ定食」を注文。この手の定食はどこかチープで、物悲しい気分に陥るものだが、これが定食として強い意志を発揮しているのだ。半焼きのたらこの横には大根おろし、そのふっくらとしたタラコを口に含むと、単純な味わいなのにご飯の進むこと、
「こりゃモノが違う!」
小鉢には昆布の佃煮、お新香、テーブルにはモヤシ炒めが常備され、これをちょいとつまみながら、味噌汁をすすればなんとも心地よく、あっという間に完食、隙がない。

再び来店し、「赤魚鯛粕漬焼き定食」を注文した。これがいい塩加減で、ほどよく脂がのりホクホクで絶品の味わいに満足。契約農家から直接仕入れているというコシヒカリの炊き具合も申し分なく、客が殺到するのもうなずける。また毎週金曜限定発売される「小判弁当」は、文字通り小判型の弁当箱に様々なおかずがビッシリと敷き詰められた代物で、これもまた旨い。すぐに品切れになる人気振りなのだ。

「赤魚鯛粕漬焼き定食」(¥850)を含め、定食メニューは全6種類。ほかにも日替わりで1種類、別メニューが登場する。 4人テーブルが5卓、カウンター5席からなる1階。店主の菱山氏は笑顔がやさしい、気さくな人である。

: DATA :
【藤むら】
住所:東京都千代田区神田多町2-2
JR神田駅北口より徒歩2分
電話:03-3256-0063
URL:http://www.kappo-fujimura.com/index.html
営業時間:11:30〜14:00
17:00〜22:30(L.O 22:00)
定休日:土・日・祝(12月のみ土曜営業)
席数:25席
★シチュエーションPOINT
「 よろしく新人! 歓迎ランチでいいとこ見せよう 」