2007.10月 File.04

●今週の鳥肌店

浅草
「どぜう飯田屋」

●今週のおすすめ

門前仲町
[釜めし むつみ]
[インドカリー夢屋]

●今週の裏メニュー

「太って出直します」

photo by Mikako Honma  

タコの旨味と食感にウットリ

釜飯にはあまり興味がなかった。その理由は、あの混ぜご飯のような中途半端なたたずまい、確固とした主張をしない具の姿、おかずもなくただメシをほおばるという作業。下手な店に入れば、スーパーで売っている着色したような汁漬けの山菜が散りばめられていたり、五目に塩ジャケが入っていたりと、釜飯の悲しい思い出を語ったらキリがない。そもそも、いい店に出会ってなかったということなのだ。

浅草寺の裏手、言問通りの横丁にある「釜めし むつみ」に巡り合ってそんな思いも払拭された。 客層は観光客、地元の家族連れ、商売人、隠居衆 、オバ様方、初老のカップルでいつも賑っている。

お勧めは「たこ釜めし」、これがうまい。

タコはその日あがった新鮮なものを使用し、 注文してからの待ち時間は 20 分ほど。釜飯の蓋をはずせば、湯気とともにタコの香りが鼻先をかすめ、ほんのり桜に色づいたご飯が姿を現す。タコの身というよりは吸盤が具の主役で、一口ほおばれば、タコのうまみが十二分に染み込んだご飯、柔らかにしてコリコリとした歯触りを留めた吸盤が実に心地よいのだ。

また小柱の釜めしも秀逸で、数人で訪れたらこれも是非試してもらいたい。炊き上がった飯の上に生の小柱が山盛り、これを熱々のご飯と一緒にかき混ぜると、いい具合に小柱に火が通り、ウットリとさせられるおいしさに変貌する(材料希少につき登場は月1回程度、要問い合わせ)。

季節メニューとして「かき釜めし」( 10〜3月)、「鮭の親子釜めし」(10〜2月)なども楽しめるぞ。

 

「たこ釜めし」(¥ 1200 )をはじめ、各メニューにはお新香と味噌汁がつく。釜めしだけでなく肴も充実。酒席の〆として釜めしを味わう客も多いとか。

サイドメニューとして人気の「煮物の盛り合わせ」(1人前・¥ 840 )。日替わりで7種類の煮物が楽しめる。どれも丁寧に作られた逸品ばかり。「えびしんじょ」(2ヶ・¥ 525 )もおすすめ。

浅草寺の裏手という場所柄、団体客も少なくゆっくりと落ち着いて食事ができる。

: DATA :
【釜めし むつみ】
住所:東京都台東区浅草3-32-4
各線浅草駅より徒歩8分
電話:03-3874-0600
URL: http://www.gyo-retu.com/mutsumi/
営業時間:11:30〜22:00(L.O 21:00)
定休日:1月5日のみ
席数:60席
★シチュエーションPOINT
「浅草デートの腹ごしらえに」

 



とにかく旨い、複雑にしてシンプルなカレー

雷門から仲見世を進み、伝法院通りを右折、交差点手前右手に「夢屋」が現れる。

ここのインドカレーはとにかく旨い。
人気はチキンカレー、チキンマサラ、キーマカレーなど。

そのカレーソースはサラサラにして、浅く焙煎された玉ネギの食感、コリアンダー、クミン、カルダモンなどの香辛料の芳香、やや薄めな塩気は、食べ終わるころにちょうど良い塩梅になるように仕上げられている。

特筆はご飯だ。沸騰した湯にシナモン、ベイリーフ、クローブ、カルダモンのホールスパイスの香りを移し、そこに米を投入して湯で、さらに蒸しあげた代物。パラパラとしたご飯は香りよく、このカレーソースと実にマッチしている。辛さも好みで選べ、付け合せの大根の酢漬けとともにいただけば、なお一層美味しくいただける。

複雑にしてシンプルなカレーとでも言おうか、インドカレーに馴染みのない人は、一瞬物足りなさを感じるかもしれないが、これが食べ慣れてくると、病み付きにさせられる味わいが潜んでいる。ぜひ熱々のうちに食べてもらいたい。

写真は「チキンカレー・極辛」(¥ 910 ・他辛さは¥ 880 )。各メニューは「中辛」「やや辛」「辛口」「極辛」の4段階から選べる(極辛のみ 30 円増し)。辛さに自信がない方は「中辛」がおすすめ。 ご夫婦ふたりで切り盛りされる店内はアットホームな雰囲気。カウンター席から手際のよいご主人の仕事を見るのも面白い。

: DATA :
【インドカリー夢屋】
住所:東京都台東区浅草1-35-8
各線浅草駅より徒歩4分
電話:03-3841-1681
営業時間:平日11:30〜15:00
16:30〜20:00(L.O)
土日祝 11:30〜20:00(L.O)
定休日:
席数:13席
★シチュエーションPOINT
「和食もいいけど、カレーもね」