中野駅北口にはおよそ 800 の飲食店が軒を並べている。またキャバクラの数も半端じゃなく、駅のロータリー、裏通りでは客引きが絶えない。
土地柄か、写真、漫画、脚本、小説家を目指すキャバ嬢や、新劇女優、ＡＶ女優の卵がいたりして、彼女たちの夢を熱く語る姿を見るのも面白い。なかには現役の女王様なんていうのがいて、
「お客さん、ＳかＭか心理テストしてあげる」
っていきなり、タバコの煙を吹きかけられたことがあったが、その結果は想像にお任せします。

僕は遅くても２時頃には帰路につくが、たまに朝方まで飲み続けて表に出ると、飲み屋街の様相が一変する。シーンと静まり返った裏通りに、キャバクラのボス格の強面のお兄さんが、それぞれの店へ集金に現れると、道端に従業員たちが整列し、まるでその筋の人が組長を迎えるように「ちゃーっス！」、「お疲れ様っス！」と、そこらじゅうで連呼しはじめるのだ。その間を通り抜けて帰るのが非常に恐ろしい、酔いが覚めてしまうのだ。