2007.6月 File.01

●今週の鳥肌店

銀座「新ばし 牛かつ おか田」

●今週のおすすめ

銀座「天はる」 「ぶたBEN」

●今週の裏メニュー

「行き着く先はオヤジ天国」

 

 

 

photo by Mikako Honma  

サクッとしながら適度な歯触り
粋な職人の確かな仕事

ある版元の社長と新橋の赤提灯で、旨い天ぷら屋の話で盛り上がり、「この界隈には見当たらないな」という趣旨の会話を肴に飲んでいた最中だった。隣の客が突然、
「ちょっとよろしいですか?」
「あっ、はい、なんでしょうか?」
「あなたたちの言っている西永福の『天太呂』や赤坂の『楽亭』の天ぷらは確かに美味しいし、私もよく食べに行きますよ。でも新橋に旨い天ぷら屋がない、なんて……。『天はる』 はご存知ですか? 私の場合、特に『かきあげ天丼』が好きなんですが、 1 度召し上がってみてくださいよ」
と初老の紳士。その品のいい風貌は確かなものを食べつくしてきた説得力があった。

さっそく数日後、社長と 2 人で「天はる」の暖簾をくぐったのだった。店内は鮨詰め状態、そのありさまに期待が膨らむ。天丼、かきあげ丼をそれぞれ注文し、互いに 1 口。
「うっ、旨い。油が軽いし、素材の旨味が活性しているね」
「サクっとしながら適度な歯触り、いやー、あのオヤジに感謝だな」

厨房の仕事を眺めれば、天ぷらを客に提供するまでの小気味いいリズム、この年季の入った動作も味に影響を及ぼしているはず。またタレの量も適度で、甘からず辛からず。ご飯の炊き具合も絶妙で隙がないのだ。

「かきあげ天丼」(¥1,650)の具材は芝エビ、青柳の貝柱、モンゴウイカ。彩りを添える野菜は日替わりで、春には山菜も登場するとか。お吸い物とお新香がつく。 新橋という土地柄、客層の中心はサラリーマンがほとんど。店の1番人気は「天丼・中」(¥1,080)。

: DATA :
【天はる】
住所: 東京都港区新橋3-17-8
JR・東京メトロ銀座線新橋駅烏森口(烏森通り方面)より徒歩1分
電話:03-3431-8068
営業時間:月〜金 11:10〜15:00
17:00〜21:30
土 11:10〜15:00  17:00〜20:00
定休日:日・祝
席数:22席
★シチュエーションPOINT
「大人の昼飯、体験してみる?」

 



「安い」「旨い」「楽しい」3拍子揃った人気店

JR新橋駅、ちょいと東京駅寄りの高架下に、いかにもこの界隈らしい焼きとん専門店「ぶたBEN」がある。細長い店内は右手にテーブル3卓、左手にカウンター4席、その奥、右手テーブル3卓、左手に厨房に面したカウンターが4席。客が入りきれないときは、表に臨時のテーブルを設置してくれる気くばりがいい。

客層は当然サラリーマンのオヤジ連中や、不倫風カップル、たまに、色気漂う外資系のOLが出没したりすることもある。

この店の売りは、なんと言っても各種焼きとん。生から焼き始めるので、少々時間はかかるが、ちょいと小ぶりな串が実に旨い。変り種のメニューとして、他店では滅多にお目にかかれない、「生シジミの紹興酒漬け」や「台湾風ザリガニ煮」などがあり、是非試してもらいたい。

また「ぶたBEN」のもう 1 つの魅力は、知らない客同士がいつの間にか、友達のように溶け込んでしまうフレンドリーな空気に満たされていることだ。たぶん、焼き場の職人さん、主人の人柄がそうさせているのだろう。
奥は「生シジミの紹興酒漬け」(¥380)、手前は「台湾風ザリガニ煮」(¥500)。リピーターも多い名物メニューだ。 確かな味の各種やきとん。写真は左から「タン」「レバ」「ナンコツ」(各¥120)。1本から頼めるのも嬉しい。

: DATA :
【ぶたBEN】
住所:東京都港区新橋1-13-3
JR・東京メトロ銀座線新橋駅より徒歩2分
電話:03-3503-5749
営業時間:月〜木 17:00〜24:00
金・祝前日 17:00〜26:00
定休日:土・日
席数:30席
★シチュエーションPOINT
「落ち込むあの娘を誘って一杯」