テレビや雑誌媒体から、かたくなに取材を断り続けているカレー屋がある。その名は、といっても伏せ字だけど「○○○風カリーライス」という店だ。

その場所は、神田駅から中央通りを三越方向へ進み、交差する江戸通りを越えた企業ビルが林立する中の左手に、ツタの絡まる古めかしい３階建ての店がぽつんと現れる。昼時は行列ができるほどの人気店で、とあるカレー屋の主人が、開店から閉店まで客の入りをカウントしたところ、
「 350 人だったんだよ、驚いたな……」
と、この主人も暇な人である。まあ、そのぐらい繁盛しているのだ。

ちょいと喫茶店と見紛う風情なので、コーヒーを飲むつもりで入ったら、カレーを出された、なんて話をよく耳にする。

カレーは１種類だけで、その様相は茶褐色のサラサラソース、具は大きめの豚肉、玉葱など。味わいは、深い旨味とコク、ジワーッと額から汗がにじむほどの辛口で、二日酔いのときにはもってこいの代物、萎えた胃袋がシャキッとさせられるのだ。

日によって多少味にブレはあるが、これが実に旨い。興味のある人は探してみてね。