2007.9月 File.03

●今週の鳥肌店

下北沢
「虎の子」

●今週のおすすめ

下北沢
[cafe ZINC]
[下北洋食屋 マック]

●今週の裏メニュー

「下北沢、一考」

 

 

 


イラスト: 青木健

下北沢ってどんな町だろう。

この界隈を徘徊している連中は、どこかフリーダム、アナーキスト、ノンポリ、なんて言葉がピッタリ。カッコいい感じはするけど、ようは無責任な連中が多いってことかな? これは勝手なイメージだけど。

この辺のランドマークといえば「本多劇場」だったり、「ザ・スズナリ」と「すずなり横丁」、また駅線路際のレトロな商店街「北沢駅前食品市場」だろう。僕にとって特に思い入れはない。

この辺は元々屋敷町だったらしく、「茶沢通り」を渡った裏手、代沢2丁目あたりへ行くと、とてつもなくでかい家が立ち並び、圧倒される。元々の地主か、よっぽど悪い商売をやってきた連中の住家じゃないかと錯覚してしまう。偏見だけど。

果たして下北沢っていい町なのだろうか。

ターミナル駅である新宿へ7分、渋谷へは6分。吉祥寺などの人気スポットに行けて便利、これはいい町に値するのだろう。雑貨屋、ブティック、青春と錯覚させるような小洒落た飲食店が所狭しと立ち並ぶ、夢見る少年少女たちの実験場、観光スポットでもある。また、根拠のない自信に満ち溢れた連中、不遜で気取ったオヤジが、ここかしこに出没している、そのすべてが、どうも鼻について仕方がない。多分、屋敷町に代々住んでいる連中は、もっと彼らを斜に構えて眺めているような気がする。高円寺も同様の匂いを感じるけど、もう少し地に足が着いた落ち着き感がある。

学生時代過ごした町だけど、僕にはどうも疎外感があり、今でもその感覚を拭い去ることができないでいる。ひょっとしたら僕がちょいと金持ちで、心に余裕があれば、こんな感覚は生じないのかもしれない。アーティスティックな分野で、やがて成功を収めるかもしれない、フリーダムを気取った小洒落た若人に、恐れをなしているのか。この街に訪れるたびにそんな事を考えてしまう。

そうそう、取材を申し込もうと思っていたお座敷洋食の「スコット」が、悲しいことに閉店してしまうったようなのだ。ここのポタージュは最高に旨かったんだよね。