2007.6月 File.04

●今週の鳥肌店

池袋東口「新一条流がんこラーメン」

●今週のおすすめ

池袋東口「A・Raj」「東亭」

●今週の裏メニュー

「職人技に思わずウットリ 昼下がりの池袋東口」>

photo by Shigeki Watanabe

1度食べればもう虜 怪しい主人と塩っぱいラーメン

かつて「がんこラーメン」が西早稲田にあった頃、毛ガニ、干しアワビ、フルーツバット(コウモリ)、伊勢海老、金華豚ハムなどの変わった食材でラーメンを作る、「悪魔」と銘打った、月に1度行われるイベントがあった。その日は早稲田通りの横丁に人が押し寄せ、まるでお祭り騒ぎ、日によっては 500 人の行列を並ばせたほどの人気振りで、当時、マニアを楽しませていた。

その店は弟子に譲り、一時期地方を放浪していたが、突如池袋サンシャイン通りの横丁に、「新一条流がんこラーメン総本家」、いわゆる本店として、今年の4月 10 日にめでたくオープン。ラーメン界のカリスマパフォーマー、一条安雪氏が帰ってきた。丸坊主に仙人髭、どこへ行くにもTシャツに長靴姿の怪しい風体。彼のこしらえるラーメンは、鶏、豚ガラなどから丁寧に旨味を抽出した清湯スープに縮れ細麺、かなり塩っぱいけど、旨いんだよな。

訪れる客の大半は、ラーメンを食べに来ると言うより、一条氏の人柄に触れるために店にやってくるような気がする。
「悪魔ラーメンは復活するんですか?」
「なに言ってるの、もう2回やったよ。最初は北海道産のザリガニで、この間はバイソン(水牛)のコブでラーメン作ったよ、旨かったな。えーとね、次は豚のネックでやるよ」

うーん、相変わらず奇妙な食材だ。しかしマニアを喜ばせた「悪魔」のイベントが復活してくれたことはなによりである。1度訪れたら、怪しい主人と、この塩っぱいラーメンの虜になるだろう。
「ホワイトこくダマ入り」(¥ 850 )は塩ダレをベースに牛乳とバターを加えた1品。「こくダマ」はマッシュポテトとコーン。スープに溶かすことで、よりクリーミーな味わいとなる。 「がんこラーメン」の真髄とも言うべき強烈な塩っぱさと旨味が主張する「あっさりしょうゆ」(¥ 700 )。トッピングは「のり5枚」「味付け玉子」「メンマ」が 100 円、「チャーシュウ」が 300 円。
独創的なメニューの数々と味だけでなく、あたたかい人柄でも多くの人間を惹き付ける一条安雪氏。今日も家元として、「がんこラーメン」を作り続ける。 店内はカウンター5席のみ。店頭の販売機で食券を購入するが、お札対応は千円札のみ。あらかじめ両替をして店に向かうべし。

: DATA :
【新一条流がんこラーメン】
住所: 東京都豊島区東池袋1-3-12
JR池袋駅東口より徒歩5分
電話:非公開
営業時間: 11:30〜22:00(スープ終わり次第閉店)
定休日:無休
席数:5席
★シチュエーションPOINT
「マンネリな昼飯に程よい刺激はいかが」