イラスト: 青木健
何回取材を申し込んでも受けてくれない店が東口に1軒ある。今回は思い切って伏せ字でその店の概要を紹介したい。東口といっても、北池袋に近い。明治通りを王子方面へ進み、春日通りなどが交差する五叉路を渡って 150 メートルほど進んだ、左手にある「K」という串揚げ屋だ。
昼飯しか行ったことがないが、ここの「串揚げ定食」にはいつもウットリさせられる。おひつに入ったご飯は茶碗で3膳ほど、これがありがたい。串は確か8種類だったか、その中身はコンニャクや豚肉など。なんの変哲もない食材を「ああ美味しいな」と実感させる串に変貌させる、店主の技に感心させられる。それもこのボリュームで 700 円で提供しているのだ。
巷に串揚げ専門店が数ある中で、ここより納得させられる串揚げに出会ったことがない。なんていうか、寿司屋と一緒で、いいネタを使えば下手な職人でもそれなりの物は提供できるものだけど、シャリの酢、塩加減、握りの按配、または白身魚の昆布〆の加減で、その職人の腕の良し悪しが明確になるもの。そんな確かな技が、ここの店主にはあるのだ。いずれ夜も訪ねて、昼とは違う食材の串揚げを味わってみようと思っている。