2007.7月 File.01

●今週の鳥肌店

池袋東口「FullHous」

●今週のおすすめ

池袋東口「ARCO」「名古屋うど」

●今週の裏メニュー

「人柄もまたご馳走なり」

 


イラスト: 青木健

西口にはまだまだ面白い店があるので紹介しよう。

1軒は「マダムシルク」という怪しいバーだ。客層は立教の学生、院生、そのOB、音楽家、編集者や物書きが多い。各テーブルにはローソクの明かり、その薄暗い店内のカウンターには、ちょいと妖艶なオーナママのさっちゃんが鎮座している。欧米の小説を原書で読んでいる彼女を目撃したとき、「ああそうか、このママのパーソナリティーがちょっと偏屈な客を呼び集めるのか」と納得させられた。

曜日ごとにホールの女性が変わり、みな個性的でなおかつ気さくで面白い。店内のしつらえは演劇のポスターや、往年の味わい深いヨーロッパ映画のスチール写真などで埋め尽くされている。ボックスや、カウンターで客同士が議論を交わす雰囲気は、どこかサルトルとボーヴォワールらが語り合ったパリのサロン(行ったことはないが)を想像させる趣なのだ。

もう1軒は、「マダムシルク」からほど近い場所に「線條手打餃子」という台湾餃子の専門店がある。2人がけのテーブルが2卓しかない狭い店内なので、混雑時はまず入れないが、テイクアウトもできる。8種類以上の野菜が練りこまれている変り種の餃子がおよそ50種類。どれをいただいても秀逸で、サッパリしていて何種類でも胃袋に収まってしまうのだ。お勧めはゆず餃子、これが旨い。それと台湾出身のおばちゃんの人柄が最高で、餃子を一層美味し感じさせてくれるのだ。ぜひ尋ねてもらいたい。