2007.8月 File.03

●今週の鳥肌店

新宿
「第21みくに丸」

●今週のおすすめ

新宿
[トップ]
[中華若月]

●今週の裏メニュー

「刺激的な夜は更けて」

photo by Mikako Honma  

サラリーマンの疲れを癒す純喫茶

「ここのサーディンのトーストと、タラコのコッドローがたまんなくいいんだよ」
とサラリーマン時代、全共闘世代の先輩に連れられて初めて「トップ」を訪れた。
「これこれ、食べてみな」

やや厚切りで小ぶりなトーストの上にオイルサーディン、トーストのサクっとした歯ざわり、しっとりとした旨味のあるイワシとの相性がいい。ちょいとレモンを振りかけて、いただけばまた旨い。合間にピクルスをつまんでまたパクリ、
「これいいわ」
「だろう、なかなか乙だろう」
と次にコッドローはトーストのサクっとした歯ざわりの中に、フワっとした蒸しタラコマヨネーズの食感、これもしっくりきた。
「特別なものを組み合わせているわけじゃないけど、これってアイデアですね」
「そうそう、なんてことはないんだけど、よく考えたよな」

小腹が空いた営業途中のサラリーマンには丁度いいボリュームで、仲間たちでよく「トップ」を利用し、トースト類をつまんでは疲れた体を癒していた。

いまでこそカフェスタイルの喫茶店でも、ちょいと変わった軽食メニューを数多く揃えるようになったけど、どうもしっくりこない。サンドウィッチや菓子パンなど、たぶん、すべて出来合いのものばかりだからだ。
「サーディントーストは昔からのお客様がよく注文されるんですよ」
と店長。うーん、僕は昔の人になってしまったようだ。この新宿店は 1968年オープンで、すでに40年近くの歴史がある。カフェスタイルの喫茶店が増える中、純粋な喫茶店は、最近見かけなくなってきた、大事にしたい。また、 マイノリティーにされてしまった喫煙者も、ここでは堂々とタバコが吸えるので、安心して利用してもらいたい。

「コッドロートースト」(¥ 350 )の上品で優しい味わいが疲れた身体を癒してくれる。

「サーディントースト」(¥ 500)のレシピは創業当時のまま。その変わらぬ味で、オールドファンの心を掴んでいる。

落ち着いた雰囲気の店内。仕事の合間に訪れるにはうってつけの立地も魅力だ。店頭にはコーヒー豆の販売スペースも。

: DATA :
【トップ 新宿西口店】
住所:東京都西新宿1-9-18 永和ビルB2F
JR新宿駅西口より徒歩3分
電話:03-3343-3023
URL:http://www.top-coffee.co.jp/
営業時間:08:00〜22:00(L.O.21:45)
定休日:
席数109席
★シチュエーションPOINT
「たまにはちょこっと息抜きを」

 



何度食べても飽きのこない美味しさ

新宿西口から、大カードにつながる一帯に「思い出横丁」という、細い路地が入り組んだ飲食街がある。通称「しょんべん横丁」とも呼ばれ、その一角に「若月」はある。

かつて荒川区で店を営んでいた店主の姉が、戦火で焼け出され、新宿に住んでいた叔父を頼って移り、新たに店を構えたのは昭和 23年頃。ラーメンを提供し始めたのは昭和29年からだそうだ。

「若月」のラーメンは、 昨今の奇を衒ったようなダブル、トリプルスープなんて小賢しいものではない。豚ガラ、煮干などから抽出した若干濃い口の醤油スープに、歯ごたえのしっかりした自家製の平打ちの縮れ太麺がよく馴染む。メンマ、焼き豚など、どれもシンプルで、何回いただいても飽きのこない美味しさだ。 それも 400 円とは頭が下がる。また 350 円の焼きそばも人気メニューで、廉価とは思えない味わいに痛み入る。

「昔に比べるとんみんな大人しい酔っ払いになったね。昔は客同士のケンカや、ラーメンを食べながら寝ちゃって丼に頭をつっこむ人、椅子から転げ落ちる人とか、いろんなお客さんいたけど、今はせいぜい仲間うちの言い合いぐらい、お店をやる分には楽だけど、なんていうか、ちょっと寂しい気がするね」

呑兵衛がたむろする新宿の名所「しょんべん横丁」。戦後間もない頃から、その移り変わりを見てきた主人の言葉に歴史がある。

毎日自家製される麺とスープとのバランスが絶品の「しょうゆラーメン」(¥ 400 )。大盛りは 100 円増し。 昼時は近隣のサラリーマンで賑わう店内。深夜まで営業しているので、飲んだあとの〆の一杯を求めて訪れる客も多いとか。

: DATA :
【中華若月】
住所:東京都新宿区西新宿1-2-7 思い出横丁内
JR新宿駅西口・東京メトロ各線新宿駅より徒歩3分
電話:03-3342-7060
営業時間:11:00〜翌1:00
定休日:
席数13席
★シチュエーションPOINT
「酒の〆にはやっぱりラーメン!」