2007.8月 File.03

●今週の鳥肌店

新宿
「第21みくに丸」

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「刺激的な夜は更けて」

photo by Shigeki Watanabe

フレンドリーな店主も魅力

新宿三丁目は、フリーランス、劇団、映画、出版関係者など、オタクがそのまま成長したような個性の強い輩で賑わう街である。この界隈で、「どん底」、「池林坊」、「鼎」などは、媒体にも登場する有名な飲み屋だが、今さら取り上げても面白くない。

最近発見したのが「第 21 みくに丸」という居酒屋だ。怪しい雑居ビルの3階にあり、お世辞にも綺麗な店ではないが、小上がりの板の間、カウンター、テーブル多数、無理をすれば 60 人ほどの客が収容できるちょいと広めな店内だ。そこになぜか雀宅が置いてある。

「ここは昔、雀荘だったらしくて、記念に1卓だけ残しておいたのよ」
と主人の内田正憲氏。かつては自衛隊のレンジャー部隊にもいた方で、現在アマチュアのラグビーチームに所属しているスポーツマン。短髪で胸板の厚いフレンドリーな人柄なのだ。この奇妙な店名は、主人が知床で漁師をやっていた頃の漁船の船名だそうだが、元々は福岡出身とか、東奔西走の末、この新宿に根を下ろした。

ここはとにかくいい居酒屋だ。飲み始めると、何時間でも過ごせてしまう和み感のある不思議な空気が漂っている。当然、酒の肴も文句なし。お勧めはご覧の「トマトフライ」、「しらすのだし巻き玉子」、「刺身盛り」などなど。日によって仕入れが変わり、かつての漁師仲間が送ってくれる北海の幸がいただける機会もある。また1人の場合、多くは食べられないが、色々なものをちょっとつまみたい、という客には、「小鉢でちょこちょこセット」 2000 円、なんていうのもあってありがたい。

客層も前述の通り。主に劇団、映画関係の輩が多く、予算のない小劇団に、昼間稽古場として店を提供してあげたこともあるそうだ。心の広い主人である。
「刺身盛り」(¥ 2000 )。予算に合わせてくれるので、相談してもいいだろう。元漁師の店主が選んだ魚の味はさすがの旨さ。 ソースでいただく「トマトフライ」(¥ 550 )は客のリクエストから生まれたメニューだとか。絶妙な塩加減の「しらすのだし巻き玉子」(¥ 600 )はボリューム満点。
毎日、自転車で新宿を駆け巡り仕入れを行なうという内田氏。年中無休で働き続けるパワフルな方である。 演劇や映画のポスターで彩られた店内。公演の打ち上げ会場や若手写真家の個展会場としても利用されている。

: DATA :
【第21みくに丸】
住所:東京都新宿区新宿3-12-3 第2藤原ビル3F
東京メトロ丸の内線新宿三丁目駅より徒歩2分
JR新宿駅東口より徒歩7分
電話:03-3350-6078
URL:http://www15.ocn.ne.jp/
~mikuni/12.html
http://mikunimaru.blog55.fc2.com/
営業時間:

17:00〜お客様と店主の元気が続くまで 定休日:なし
席数:60席
★シチュエーションPOINT
「親友とじっくり語り合う」